蔵元めぐりマップ

有村酒造 株式会社
浜千鳥
住 所:891-9301 鹿児島県大島郡与論町茶花226−1
Tel:0997−97−2302
創 業:創業昭和22(1947)年
蔵人数:6人
代表者:有村 晃治(ありむら・こうじ)
杜 氏:福地 成夫(ふくち・しげお)
主な銘柄:「島有泉」

人と自然と共に造り続ける与論の蔵

kametomita.JPG 与論島は、奄美群島の島々の中でも最南端に位置する隆起サンゴ礁の島で、美しいリーフに囲まれた島の南岸からは沖縄本島を望むことができる。この与論島で唯一の奄美黒糖焼酎の蔵が、有村酒造だ。
 初代・有村泰治(たいじ)氏がアメリカ軍政下の昭和22(1947)年、「有村泰治酒造」として創業。その後、昭和32(1957)年に酒造免許を取得した。
 麹(こうじ)に使用するのは白麹とタイ米、黒糖は沖縄産数種類をブレンド。造りは一次仕込み・二次仕込みとも昔ながらの甕(かめ)で仕込み常圧で蒸留。仕込みと割水には、与論島の地下水と海水を汲み上げ淡水化した口当たりの良い軟水を使用している。
 年間800石ほどを生産する代表銘柄の「有泉」は、20度をメインに25度、35度が揃う。与論島で酒と言えば「有泉」のことを指すほどに、宴席に欠かせない地の焼酎として地元で愛飲されている。

kametomita.JPG 代表者の有村晃治社長は、帰島。まもなく父が他界し蔵を継ぐこととなった。
 有村社長は、蔵で使用する機器類のメンテナンスや改良なども難なくこなしてしまう。
 四角型の黒糖を溶かす溶解機は、自ら図面を引いた特注品。従来の背の高い機械のように黒糖を投入するために足場へ上り下りする必要がないため、作業効率が格段に向上したという。
 また、タンク類の冷却には取り外し可能な冷却装置を採用するなど、蔵の至る所に技術者系のアイデアが光る。
 経営を引き継いでからは、貯蔵タンクを増やすなどし数年がかりで生産体制の整備に努め、それまで与論島内のみだった販路を島外へ拡げてきた。今では全生産量の約3割を島外へ出荷している。

kametomita.JPG 有村社長は、サトウキビを生産する友人の畑で焼酎粕を肥料として利用するための実証実験を行っている。その畑を見せていただいた。
 同じ畑で焼酎粕を肥料として与えたキビは、与えていないキビに比べて生育が良く、キビの密度も高くなっていた。
 黒糖焼酎を造る度に生じる大量の焼酎粕の処分は、蔵にとっては悩みの種。廃棄処分されている焼酎粕を活用し、元気なサトウキビを育てることができれば農家も喜んでくれる。焼酎粕で育てたキビから黒糖を生産し黒糖焼酎を造る。小さな島の中で、そんな持続可能な仕組みづくりが出来ればと夢は膨らむ。

DSCN0266.JPG 与論島を訪れ、地元の方たちと酒宴の場を共にすれば、幾度となく「与論献奉(よろんけんぽう)」のもてなしを受けることとなる。
 「与論献奉」は与論島に伝わる儀礼で、親(主人)が自己紹介を兼ねた口上を述べて一息に盃を乾し、盃を返して残っていないことを示す。
 盃にわずかに残った酒は髪の毛に撫でつける。これは酒を髪=神に捧げる意味があるという。親は盃に再び酒を注ぎ、子(客)に渡す。盃を受け取った子は同様に口上を述べ、同じように盃を乾し親へ盃を戻す。
 酒が飲めない場合、子は口上だけ述べて親に盃を戻し、親が代わりに飲む。また、親と子の盃の受け渡し時には盃を下に置いてはいけないという決まりがある。そのようにして、その場にいる全員に盃を回していく。
 「与論献奉」には島の繁栄を願い、客人を心から歓迎し、真心を献上する意味があるという。知らない者同士も献奉の盃を交え言葉を交わすうち、いつの間にか打ち解けた雰囲気になっている。
 かつては、このような風習が琉球王国の各地にあったといわれる。南西諸島のほぼ中央に位置し、他の島々と交易を続けることで生き延びてきた歴史を持つ与論島。四方を海に阻まれ、外へ出るには危険な海を越えて行かなければならない。時には海路も激しい嵐に閉ざされ、島に何日も閉じ込められることもある。そのような「離島苦(しまちゃび)」を知るからこそ、遠方からの人を迎える喜びも濃いものとなる。献奉は、この島だからこそ残った風習なのかもしれない。
 「与論献奉」の際には島酒の「有泉」が欠かせない。「有泉」は黒糖焼酎としては低めの20度に割水してあり、生(き)で飲まれることの多い与論島の風習に根差した設定になっている。

DSCN0275.JPG 与論島地主(とこぬし)神社では毎年旧暦の三月・八月・十月の十五夜に「与論十五夜踊り」が奉納される。大和、流球、奄美など各地の芸能の要素を取り入れた大変珍しいもので、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
 十五夜踊りの最初に演じられるのは「アーミタボーリ(雨たぼうり)」という雨を乞う踊りである。「雨を降らせてください」という意味の文句を唱えながらゆったりとした動きを繰り返す踊りの最中、踊り子たちの頭上にパラパラと雨が降りかかってきたのが印象的だった。
 今のように上水道が普及していなかった時代、平坦で川の無い与論島では、水源をわずかの湧き水と天水に頼っていたという。かつて「有泉」の割水にも天水を貯めてろ過した水が使われていた。古(いにしえ)の島人達の雨を乞う気持ちはどれだけ強く切実な願いであったことか、盃に注がれた「有泉」を味わいながら思いを馳せる。
 十五夜の輝く満月の下、夜更けまで祭は続き、境内のあちこちで献奉の盃が交わされた。祭りを終えたその夜、祈りが天に届いたかのように大雨が島に降り注ぎ、日照り続きで乾いた大地を潤した。自然に感謝し恵みを乞う祈りの心は、今も与論の祭りの中に息づいている。


有村社長流 奄美黒糖焼酎の楽しみ方

DSCN0504.JPG 有村社長が最近ハマっている「有泉」の楽しみ方は、「46 GINGERALE(ヨンロクジンジャエール)」で割る「ヨロン割り」。
 「46 GINGERALE」は与論島で生産された島ショウガで作られるジンジャーエール。島の若者達が地元振興を目的に製造販売を行っている。
 グラスにアイスを入れ、好みの割合で「有泉」20度と「46 GINGERALE」を注ぎ、ステアする。ジンジャーの辛味と「有泉」のほのかな香りが溶け合い、微炭酸でさっぱりと飲みやすいカクテル。与論島産のコクのある黒糖と、黒糖をからめたピーナッツを酒の肴に。


蔵見学について

DSCN0253.JPG見学可
時間帯 8:00〜17:00
休 日 日曜・祝日
駐車場 有(2台)
要予約
問合せ先 Tel:0997−97−2302


見どころ

 「与論十五夜踊り」は年3回、旧暦3月・8月・10月の十五夜に城(ぐすく)の地主神社の境内で催される。国指定重要無形民俗文化財。

 地主神社に隣接した「ゆんぬ体験館」では、サトウキビ刈り体験や釣り体験、三味線・島唄体験など、季節により与論島の暮らしが体験できる様々な体験プログラムが揃う。

 茶花港近くの「ゆんぬお魚市場」与論町漁業協同組合による「シビチキン」などの水産加工品や、もずく、アオサなど与論島の海の幸を販売している。


より大きな地図で 有村酒造 を表示 


蔵元めぐりマップ