蔵元めぐりマップ

有限会社 山田酒造
浜千鳥

住 所:894-0105 鹿児島県大島郡龍郷町大勝1373−ハ
Tel:0997-62-2109
創 業:昭和32(1957)年
蔵人数:4人
代表者・杜氏:山田 隆(やまだ・たかし)
主な銘柄:「あまみ長雲」「長雲一番橋」「花おしょろ」
Twitter ID : @amaminagakumo

長雲の山ふところで、こつこつ造る親子蔵 

DSCN0339.JPG 代表銘柄「あまみ長雲」を造る(有)山田酒造の創業は、昭和32(1957)年。農協の酒造場で黒糖焼酎造りに携わっていた初代・山田嶺義(みねよし)氏が旧龍郷村・大勝にて創業した。現在は、二代目の山田隆社長夫婦と三代目の山田隆博さん夫婦の家族4名で蔵を営む。
 蔵のある大勝は長雲山系の山ふところにあり、水と緑のあふれる地。仕込み水と割水には、長雲山系の地下水を使用している。初代から受け継ぐ代表銘柄の「あまみ長雲」は、地の焼酎として長く地元の龍郷町で愛飲されてきた。「ご祝儀に一献差し上げましょう」という意味の銘柄「花おしょろ」も、お祝い事や祭りなど行事に付きものの地の酒を造って来たこの蔵らしいネーミングだ。

DSCN0327.JPG 麹(こうじ)はタイ米に白麹仕込み、黒糖は沖縄産を使用している。黒糖焼酎の製造は麹(こうじ)造りから始まる。いい麹を造ることで米の旨味が引き出され、ふくよかな香りと味わいを生むため、製麹(せいきく)は焼酎の味を決定づける大切な工程だ。
 全自動のドラム式製麹機械が主流となる中、蔵では昔ながらの三角棚を使用し、丁寧に人の手をかけた製麹を行っている。こうして作った麹を甕(かめ)に一次仕込みし、黒糖は豊かな香りを残すために手早く溶かし、タンクに二次仕込みする。五感をフルに開いて、もろみの温度や状態を観察しながら冷却機による温度調整や櫂(かい)入れを行い、良い発酵(はっこう)状態を保つ。

DSCN0336.JPG 蒸留は原料の風味や旨味を引き出す常圧蒸留。蔵では常圧蒸留の豊かな味わいを活かすため、冷却濾過(ろか)は行っていない。貯蔵・熟成しながら自然に浮いてくる油脂分を繰り返し取り除いて行くことで、油脂分で白濁していた液は、徐々に澄み濁りのない原酒に仕上がる。
 原料の風味が充分に引き出された原酒は、長期間貯蔵することにより豊かな香りが花開き、アルコールの角が取れて円やかな口当たりに変わる。手間をかけ、時をかけることによってのみ引き出される豊潤な味わいは、島内外に多くの山田酒造ファンを獲得している。
 「長雲一番橋」は、黒糖を低温で時間をかけて溶かすことで黒糖の持つ甘い香りを封じ込めた。
 単一原酒を5年以上貯蔵熟成させたビンテージ黒糖焼酎「長期熟成長雲」は、年600本ほどの限定生産。企画段階では3年貯蔵で商品化を考えていたが、3年で味を見た際に熟成が足りないと感じ、更に貯蔵を続け貯蔵5年でようやく納得のいく味が出来たという、こだわりの古酒焼酎だ。
 島内でも入手が困難な希少銘柄「大古酒長雲」は、20年以上貯蔵熟成したアルコール度数34度程の原酒を瓶詰めしたもので、販売価格は四合瓶で一万円(税込み)。特別な時にじっくりと味わって飲みたい。

DSCN0321.JPG 平成21(2009)年より蔵の近くに一反の畑を拓き、サトウキビの自社栽培にも取り組んでいる。
 春に植え付け夏場に草を引き、背丈より高く育ったキビを1月頃に家族総出の手作業で刈り取る。機械を使わず手刈りすることでキビの酸化を防ぎ風味の良い黒糖が出来るという。
 収穫したキビは、笠利の製糖工房「きょら海工房」で製糖してもらっている。焼酎かすを肥料に使った元気な畑で健康に育ったキビの風味を余さず閉じ込めた黒糖は、香ばしくて口どけが良い。
 山田さんの一反の畑から、焼酎の原料にして一仕込み分と少しの黒糖が作れる。今は一反の畑で精一杯だが、ゆとりが出来たら畑を増やしていきたいという。
 自社栽培のキビで作った黒糖と龍郷町秋名で生産された米で仕込んだ100パーセント地場産の黒糖焼酎は、平成24(2012)年以降商品化予定。キビ栽培を始めてから商品化まで3年以上をかける、息の長い取り組みだ。
 製品の販売は、流通業者を通さず酒販店と直接取引で卸している。「信頼できるお客さんとの関係を大切に、目の届く仕事をやっていきたい。」と山田さん親子は語る。焼酎造りも販売もこつこつと歩む姿勢が一貫している。

DSCN0344.JPG 三代目の隆博さんは、東京農業大学の醸造学科を卒業し、平成11(1999)年に帰島。父の隆社長と共に造りを改良し、「長雲一番橋」を始め、本物志向の黒糖焼酎造りに取り組んできた。「感性が豊かで本物志向。そんな女性に受け入れていただけるような黒糖焼酎を造りたい。」と語ってくれた。
 蔵を訪ねた日、隆博さんに銘柄「長雲一番橋」の由来となった「一番橋」の跡地を案内していただいた。
 かつて今のように交通網が発達していなかった時代、龍郷から名瀬方面へ向かうには、本茶峠から険しい山道を越える必要があり、龍郷から名瀬へ向かう峠道の一番目の川には「一番橋」と呼ばれたバス一台通るのがやっとの小さな橋が架かっていた。
 その一番橋のたもとに農協の酒造場があり、そこで祖父・嶺義氏が焼酎を造っていたのが蔵のルーツだという。「長雲一番橋」には、黒糖の甘い香りと共に親子三代の歴史が込められている。


隆博さんお気に入りの、奄美黒糖焼酎の楽しみ方

DSCN0344.JPG 山田酒造三代目の隆博さんがお勧めするのは、「あまみ長雲」のお湯割り。
 酒器は備前焼工房香山作。酒の肴には、茹でた豚肉を熟成させた粒味噌、ザラメ、鰹節と和えた島料理「豚みそ」を。
 「豚みそ」は島内で飼育された黒豚、奄美近海で獲れたカツオの鰹節、島内産のサトウキビから製糖された香り豊かなザラメを使用した、地産地消の一皿。コクの豊かな「あまみ長雲」と良く合う。


蔵見学について

DSCN0405.JPG見学可
時間帯 10:00〜17:00
休 日 土曜・日曜(造りの期間は無休)
駐車場 有(2台)
要予約
問合せ先 Tel:0997−62−2109


見どころ

 近くに奄美黒糖焼酎の蔵「町田酒造(株)」「奄美大島酒造(株)」がある。

 蔵の前の道を奥へ進んだ、小さな沢の辺りが蔵の創業地であり「長雲一番橋」の銘柄の由来となった「一番橋」の跡地

 スーパー「まーさん市場」の酒売り場には「あまみ長雲」をはじめ奄美黒糖焼酎が多数揃う。奄美の特産品コーナーも備えている。


より大きな地図で 山田酒造 を表示 


蔵元めぐりマップ